2009-04-05

池田亮司トークセッションレポート

昨日は東京都現代美術館で行われた池田亮司展に行ってきました。
http://www.ryojiikeda.mot-art-museum.jp/

そこで、池田さんが10代20代の若者に限定した「若者とのトークセッション」をやると告知してあり、僕も話を聞くことができたのでレポートします。

この日集まった人は大体が20代で、学生より社会人が多く、アート関係の仕事についているわけでもなく、アート関係の大学に通っているわけでもなく、将来アーティストになる予定だという人がいっぱい集まったわけでもない人たちが集まりました。
池田さんも「どんな人達がいるのか全く読めないじゃないかw」とおっしゃってましたw

このトークセッションがなぜ10代20代限定なのかというと、「歳をとった難しいこと言う人にインタビューされるとすごく疲れるから」だそうですw
トークセッションの進め方は若者からの質問にただひたすら池田さんが答えていくというスタイルでした。


(実際の話は長かったので自分なりに要約してます。語弊があるかもしれませんが、その時はご連絡ください。話も実際とは多少前後させています。)

-学生時代はどんな人でしたか?
岐阜の山奥で暮らしており、なんにもないところだったので音楽ばかり聴いていた。
ジャンルはロックとか、ジャンルを問わずなんでも聞いていたよ。
音楽を聴くのはラジオだったり、貸しレコードが始まったくらいの時期だったからそれを借りてきてテープに録音して友達と回して聴いてたかな。


-アーティストとして必要なことってなんですか?
社会的にいえばそれだけで飯を食っているかどうか。
別にそれだけで飯を食えないからってアートを続けている人は知り合いにいっぱいいるけど、そういう人は別に働かなければいけない。
本気でやるなら24時間アートに時間をかけれる人でないと続かないと私は思っています。
趣味で絵や音楽をやっている人と、それで食っている人では覚悟している本気度が違う。


-アートは表現方法だと思っているのですが、飯を食えなくても誰でもできるものじゃないのですか?
そもそもアートってなんなのか私にもわからない。表現できないよ。
アートが何なのかっていうのは、あって当たり前だったアートがなくなったときに初めてわかるんだと思う。
私的にはアートって言うのは「最も役に立たないこと」だと思っている。
日本的に考えるとアートは最も役に立たないことだって思われてる。
デザインとかならまだ役に立つんだけど、アートってのは本当に役に立たない。
でも私は何かの役に立とうと思ってやらない。やりたいからやっているだけ。
「役に立たないものを作って悪いか?自分のやりたいようにやらせろ。」と思っているし、自分がOKなら周りもOKだろって勝手に思い込んで作品も作ってます。


-24時間アートのことを考える人がアーティストと言っていたが、作品には何か食事を食べていて思いついたなど、普段の生活が影響しているのか?
作品には何かからの応用はしていないつもり。
でも何かしら生活から影響されているかもしれないね。
24時間考えてるって言ったけど、リラックスする時は全くアートのことは考えないよ。
最近はバカンスするってことを覚えた。何もしない時間を作るのは大切。
やっぱりウジウジ考えるのを続けても仕方ないし、日本のサラリーマンみたいにはならないようにしてる。
バカンスも1ヶ月とかやって、その間は全く作品作ったりしないんだけど、実はすごく作りたくなって、バカンスが終わった後にすごく製作意欲が出てくる。


-インタビューをなぜ受けないか?
(池田さんはインタビューはほとんど受けず、また顔写真も一切取らせず、メディアに露出することを常に拒否している。)
私は作品を作りたいだけだから。作ってそのままで、記者の人とかには「説明責任が・・」とかいろいろ言われるけど、言葉では説明できない、言語化できないことをやっている。
作品から言いたいことや伝えたいことなんてないし、私がメディアで変な情報を入れるとノイズになってしまう。
顔を出さないのも、作品が主役だから。むしろそれをどんどんメディアに出してほしい。
インタビューを重ねていくと、どんどんメディアに取り込まれていって作者ばかりが目立つ。
芸能人とかにはなりたくないし、作品が全てであって、そこからだけ発信している。


-説明してノイズが入ることを嫌っているが、作品にはなるべく意味を持たせないようにしているのですか?
例えばモーツァルトのメロディにいちいち意味を求めるのかということ。
アートも体験するものであって、変な分析をするもんじゃない。
だから作品にメッセージ性は無い。
作品を観にきて、帰ってから頭に残っているような感覚を持てる作品を作っているし、コンセプチュアルだったりする作品ではつまらない。


-作品を1つ2つ出して終わってしまうアーティストと、ずっと続けていけるアーティストの違いは?
わからないなぁ。沢山いるアーティストの友人にもずっとやってた人が「やーめた」っていなくなっちゃう人もいる。
やっぱり食うために必死にやる人が続く人かな。
あと、私は作品を作る以外のストレスは全く無い。
インタビューとかの人間関係とか、将来の不安などでストレスを感じない。
死ぬまで作品を作り続けていこうと思っているし、今はやればやるほどどんどん作品が出てきてまだまだやることがいっぱいある。
もちろん社会的に必要なことは人としてやらなきゃいけないんだけどね。銀行に行くとか(笑)
自分を売り込まなくてもやっていけてるし、こういうスタンスでこれからもやって行きたい。
まぁ作品ありきだけどね。それだけに作品も全力で作ってるよ。


-数少ないインタビュー記事の中で、「無限」という言葉をよく使っていましたがどういう思いがあるんですか?
一言で簡単には言えないよね。
その辺はカタログ(発売中)にまとめて貰っているけど(笑)
やっぱり無限って言うのはとにかく漠然としたものであるけど、でも数学的にはキチンと定義することができちゃったりしているところにロマンを感じてる(笑)
別にこれ(ロマン)が作品に来るわけじゃないけどね。


-ノイズミュージックに出会ったきっかけは?
ノイズミュージックだと思ってません(笑)
全ての作品を通して新しいことなんか全然やってない。
高周波音のような音を使っているのも、人工的な音だし、昔からある音だし。
私が音楽始めたころって、新しいものは出尽くした感があってやることがなかった。
その中で自分ができることってなんだろうって思った時に、基本的なことをやろうと思った。
そこにあったのがサイン波だったり、ホワイトノイズだったりしただけ。


以上、池田亮司さんと10代20代の若者との若さあふれるトークセッションの内容でした。
今回は若者があこがれるアーティストとはどんなものなのか、池田さんの考えるアートとはなんなのか、その本質に迫る質問がされた、アートの深さを実感出来るトークセッションでした。
私自身が感じたのは、傍から見ていてなぜ皆作品に意味を求めるのかというところが疑問に残りました。
日本人だからなのか、世界的にもそうなのか。
現代アート以前がそうだったからなのか、現代アートでもなんでもない別の領域の作品を作っているからなのか…。
アートは最近興味を持ったレベルなのでまだまだわからないことだらけなのですが、今後もこのような機会があれば色々美術館に行ってみたいと思います。

池田さんも今後はiTunesなどで配信されている圧縮された音源のようなフォーマットをあえて美学として表現していきたいなど、どんどん面白そうな作品を作り続けていくそうです。
これからも個人的に注目していきたいと思います。

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