2009-08-18

アニメからみるコミュニケーションの原点

最近”秒速5センチメートル”というアニメを観ました。
小学校の卒業と同時に離れ離れになった男の子と女の子が、中学、高校、社会人と時を重ねていき、その二人の心の距離を様々な表現を用いて描いた作品です。

時代はちょうど僕と同じくらい。
中学ではケータイが無かったので、手紙でのやり取り、高校からはケータイ使ってメールでやり取りしてたので、ホントにそれくらいの時期。

二人のやり取りしている手紙の届くスピード、メールのスピード、気持ちがそれぞれに届くスピード、もしくは離れていくスピード。
これらのスピードをテーマにしたタイトルが"秒速5センチメートル"。

この作品を知って感じたのは心の距離を自覚するってのは残酷だということ。
実際青春時代に付き合った人がいたわけではないので、詳しい気持ちまではわかりませんが。

1、2話(3話で構成されている短編映画集。1.桜花抄、2.コスモナウト、3.秒速5センチメートルの順。)に関しては若い頃の恋愛っていう擬似体験をさせてもらった。
3話は…自分を重ねてしまえて正直恐くなった…。

そして一番思ったことは、メールじゃ気持ちは伝わらない。やっぱり会うって凄い大切だということ。
メール、もしくは手紙は気持ちを伝える為に技術がいる。
思った事をうまく伝えるには、電話みたいに声が聞こえて相手が分かるものがいい。
声でしか伝わらない抑揚、息遣い、テンポみたいなものはメールでは表せない。
メールは細かい癖とか、文面でしか相手が分からない。その文面を整えるには時間がかかりすぎる。

メールみたいに相手の時間を気にしないで送れてしまう非同期なやりとりもコミュニケーション上、実は弊害になっている気がする。
同じ時間を共有するのも大事。

やっぱり会って直接触れ合うコミュニケーションは最高だが、場所の制約がある以上、ツールを使わざるを得ない。
そこでどんなツールを使うかが大事。
気持ちが伝わって、よりリアルタイムなコミュニケーションができる手段が。

現代人?は忙しい。
なかなかリアルタイムなコミュニケーションをとることが難しくなっている。
最近の自分の話だけど、結局自分の不安を話したり、情報共有できていないと分かり合う事はできなかった。
また、現状に甘えて会う事を怠ると、関係は破綻する。

「あなたのことは今でもすき、でも1000回メールやりとりしてもこころは1センチくらいしか近づけませんでした」
これは作中に出てくる、男女の別れのメールの内容です。
逆に言えば、人と心が通えばコミュニケーションの回数にかかわらず幸せになれる。
ただツールを使っていても、心は通わせられない。

また、

"空気を共有する"。

これも直接会ってコミュニケーションをする上で必要な条件だと思う。
メディアを情報を伝える媒体と定義するなら、コミュニケーションに使うメディアは少ないほうが良い。
会うって事は声の振動を伝える空気しかメディアがない。
その時は声だけでなく、五感をフルに使ってコミュニケーションが取れている。

相手の顔を知らないやり取りも微妙な感じがするってのもわかった。
確かに最近twitterで知り合った人と直接会ったりするけど、顔が分からないままやり取りしてる時と、一回会った後でやり取りした時では親密度が違う。

やっぱり、会うって大切。

桜花抄、コスモナウト、秒速5センチメートル。どれも素晴らしかった。
時間軸が自分の時代と似ていて、それに伴って手紙、ケータイとツールも進化していく。
コミュニケーションのリアルな描写がぽかぽかさせてくれたり、残酷な気持ちを教えてくれた。
良作。観て無い人は是非。



そしてもう一つ、この時期に最高の作品に出会うことが出来た。

そうです。絶賛公開中(2009/08/18現在)の”サマーウォーズ”。

以下、パンフレットから引用。

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電子メールをはじめとするコミュニケーションツールの発達は、新しい家族のあり方を生み出しつつあります。直接言葉を交わさずとも、遠く離れた家族がメールでつながりを確認する。それが今の家族のあり方なのかもしれません。
ますます普及するコミュニケーションツールを肯定しつつ、昔ながらの家族の絆が持つ普遍的な力が、世界的な危機をも乗り越える瞬間を、爽快なアクションとともに描き出します。それは、ますます混沌を深める世界の中で、もう一度私達の原点を見直し、明日へと歩みを進める指針となるはずです。
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コミュニケーションツールが発達した現代をちょっと進んだ未来っぽい世界観で描かれたこの作品でも、ツールに頼らず、大事なときは人と人との直接の助け合いが必要であると言われていました。

やはりここでも言えるのは究極のコミュニケーションは”会う”という事ですね。

まだ細かいところ覚えて無いから、もう一回観にいかないといけないな!


実はこの辺の話は、今ちょうど私が研究している内容とリンクしていて、地方の福祉介護医療サービスを受けている地方に住む高齢者(80~90歳)と都会に住む娘・息子(60~70歳)をどうやって心を通わせるかという手段を考えています。
最近大学で参加している研究プロジェクトで宮城と山梨に出張して、地方の医療介護関係者にインタビューしてきました。
ちょっと話が複雑なので省略しますが、地方と都会という場所の制約のせいでコミュニケーションが取れなくなり、疎遠になったまま死を迎える親を巡って様々な問題が起こっています。


”会う”ことがなかなか出来ない状況で、どれだけ”会う”コミュニケーションに近づけるか。
様々なコミュニケーションツールが普及していても、それを使うだけでは心を通わせることは出来ない。
でも”会う”ことを何かに代用することは出来ない。
”会う”ことと、何かのシステムを使って場所の制約などを補完することを一緒にしてはいけない。
”会う”ことは出来ないが、”会う”時に意思が共有できている状態を作り出せるためのシステムが必要なのかもしれない。


とまぁ、アニメから色々ヒントを得ることができた。
日本のアニメ万歳!!!!

次は何観ようかな~w

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